賑 や か な さ む け

柴田有理(しばたあり)ブログ

2006年に公募に応募したりした短歌連作

『 反璧のガガ 』   柴田 有理


すいません、困った時は世界ごと無かったことにして寝ています。

黒板があれば何でも図解して私ペースに持って行くのに

着メロをわざわざ勝利の行進にして待ってたりするからだめだ

終点がまるでいくらの形状になって続きが生まれてしまう

死んでこの臓物塗ってやりたいが死ぬと塗ったりできなくなるし 

この人はせっかくつらい時なのに学園祭のように過ごして

どんくさいけども全然裏がないアンディウォーホルみたいなもんだ

さわっても手ごたえがなく実体があるのかどうか心もとにゃい

謝りに来るときちょっとばかし金つけてくんない したら助かる

骨ばっているからもっと瀬戸際にいる人なんだと思ってました

ちょっかいを出されることもあるでしょう エゴンシーレのンは撥音便

落ち着きを取り戻そうと深呼吸 青木で吸って淳悟ではいて

「すけすけ」で「あみあみ」 何も持たなくていいからだから体が軽い

珍しくグラデーションがもたつかない ダークネス・白・ダークネス・白

十五番はんぺきのいや岸壁の母歌いますお願いします


単に飛ぶ ホップステップなしで飛ぶ いっそフワフワしよう 地上で

肉体はいつも全然分からないから珍しいものを作ろう                    

店先の WE ARE OPEN ! を店の人よりも上手に音読できる

弱いものいじめもしない強いものあがめもしないのが対位法

画用紙が豊作なのよ 窓ガラス中が光でたっぷりぬれて

遠くからカモメの声が聞こえるという気にさせる鼻呼吸音

エンケン嶽本野ばらに似ています 私も見た目は大事にしたい

陽水のおでこなんかは見ただけでさわり心地が分かるようです

気付かせてくれてなおかつ傷付けはしない優しい高田渡

海岸の石 真夜中のみうらじゅん ツ! 「失う」の起点と出会う

豚キムチ+エリンギ=食べやすい アルモドバルの映画、見やすい。

来てと言うから行ってみたのにどうも嫌そうにしていた柴田有理

柴田有理改名案として柴田利他 あまりにも仏教ぽいか

作家でもないのに「一番表現が大事なのだ」か よく言えました

何もかも無意味なようでたまらないけれどせかせか動くのは好き


持ってっていいから全部持ってってアアアアイジャスあなたが好きだ

内側にがんばり過ぎてはからずも外に破けてあなたに届く

たくさんの音が別個に鳴ってすごい静かなんだわ一人なんだわ

すごく楽すごく新鮮 すごい楽すごい新鮮 痛みのイ音

正解が出ると(光が差し込むと/お湯が揺れると)笑わさるよね

ゆき過ぎる ♪ 芽ーがー出ーてーふくらまない ♪ チビッ子それって私のことか

なぜ劣化ウランを使い続けるの 奇形、腫ようが好きなんですか

その相田みつをじゃなくてこの会田誠の顔のモイスチャーぶり

輝きを意味するどこかの方言のようだキーファーサザーランドは

しとしとと雨が降ってはジェラジェラと胸が鳴るよなよな 中坊め

あたたかい部屋に入って音のないオレンジ色に押しつぶされる

外国に生まれて周りの誰からも不気味がられず信仰したり

あっちから何か体にいいものが飛んできて俺の体にかかる

神様とそういう仲になりたいの キリエエレイソ あーた聞いてよ

宗教にうぶ毛を生やすような人とは結婚はできませんなあ


スカトロじゃないよカストロ議長だよ スカトロ好きはモーツァルトだよ

手でバブを四つに割ってまく ハーフ里見八犬伝と名づける

水圧を耳に感じて沈んでくままにまかせる耽美の世界

いっせいに咲かれてえずきそうになる 受け取りづらい春が来ますね

実際に汚い 女人禁制の山があっても仕方あるまい

運のいい男のそばで私あげまんなんだって希望をつなぐ

抑うつの次は受容が来るそうだ 凹が器になるんだそうだ

許された感じが無くていやだからタイルの目地をこすってるのだ

その時は怒り本部を訪ねなさい あそこだったら陽当たりがいい

ジレンマだ発音を良くして言うとディレンマだ うまく感謝できない

有難くいただけそうにないガガはもう面倒になって帰った

ひき続き生きていくのはだめだったものが良くなるとこを見るため                  

これからも全然用意できません 年金徴収係おばさん

一ヶ所で真逆のことが起こってるんだからまずは誉めてやんなきゃ

ウネ・リーがうねりに明るいウネ・リーが私のことを受理してくれる