賑 や か な さ む け

柴田有理(しばたあり)ブログ

鐡 鐵 どっちだ鉄ごろうの鉄は

萬の裸体美人(大学の卒業制作)や、もたれて立つ人

など萬鉄五郎の教科書に載っているような

つらいことに岩手県にも花巻市東和町にも

所有権はない絵が

岩手県立美術館に来てくれたので、

開館時間には45分くらい遅れてしまったけれど

見に行き、


裸体美人の髪の色にははっきり青が見えていて、
目鼻のラインも紺色系、
わきげの色は、青と、裸体美人の背景の緑の傾斜の緑と
両方入っている萬だから
当たり前だがかっこいい色だった。

それにしても裸体美人の背景の草というか植物、くどい。
緑のくどい草原の上に青っぽいデコラティブな何か形の輪郭線がある。

これは、大学の先生方、評価してくれないと思う。
これを見せられると、癪だと思う。

絵具たっぷり使える経済状態に腹が立つだろうし、

こんなギラギラされたらなんか全然後押ししてやりたくなくなるだろうし、

なるべく学年の中でも最低点数の卒業制作作品に

してやりたくなったと思う。



もたれて立つ人の髪は、
ずいぶん緑だった。
私には黒っぽい色だという印刷物しか、見たことが経験がなかった。

もたれて立つ人の習作、もたれて立つ人のちっちゃいバージョンが

良かった。本番のより欲しかった。小さいからだろうか。

本番のより絵具こってりつかってるのも、私には、好きだったのだと思う。


萬の薄い桃色とかすみがかったエメラルドグリーンのような配色の
道の絵、中央にはせ掛けか何かしている農夫がいる絵、 きれい。


萬が地元の土沢商店街を墨や水彩だろうか、縦長に描いて掛け軸にしたもの、

私も曲りなりにでも、街並み描けるように なりたい。


そして、もともと岩手県立美術館が所有している「宝珠を持つ人」でしたか、最期のころ描いた絵、

これ、塗り残し(キャンバス地)がありますが、

その白地ってのは、無駄にホワイトで下塗りとかしてませんし、

描きかけのバックのふすまでしょうか、

その文様の緑、赤茶、紫めいたグレーの線の 大成功、


未完成作品とはどこもかしこも呼べないですよね、この絵は。

こんな上手い絵、

皆さん見ていますか。



萬鉄五郎を見て下さい。

絵が上手いです。

追記:萬のサインは、けっこう毎回違って、打率は高いです。
   萬はデカい体、肉付きのよいモデルを描く人でしたが、
   今 岩手県立美術館に行くと、細身の女性を描いた習作が見れます。
   細身の女性の左に、誰かの脚二本だけ描いてあって消していなくて、
   いいねって思わさせられます。
   私や友人らは、「私たちのような肉付きだと、萬に描いてもらえないね」
   と何度か話していたので、
   私もちゃんと萬さんに頼めば、描いてくれたかも分かりません。
   同時代に生まれなかったので、それを確かめる機会は無かったというのは
   身軽な気持ちにさせてくれる話です。