私の希望もあって伊藤さんが持ってきた
アナログゲームの物の良さは分かったが、
ゲームとして行う意味をつかめず、
テトラの奥に逃げて、
コーヒーを淹れた。
尾中さんにコーヒーをあげる口実ができた。
昼から精神疾患と芸術活動について調べている方たちから
あたたかいインタビューを受ける。
話がはずみ、長引き、
編みぐるみの古海隆子さんとほとんど話せなかったが、
見つめ合った気がする。
ニホさん、美容院帰りの前髪で柴田作品の撮影に入っている。
テトラ二階で尾中さんと
18時からの作品解説の打ち合わせ。
柴田、作品を解説しては壁から外して
床に落としていくという方法を取るが、
別に怒っているのではないのだよと
尾中さんに冒頭で言ってもらう約束。
ほんの隙に、
伊藤さんがピアノを弾ける男性に××された、次は××だと思う、
という話に抱腹絶倒
そう、本当に笑ったのに、
その時私に湧いた力は何でしたか。
怒りですね。
しかもい塔への怒りもさることながら、
もっと、柴田有理の今までの半生で生じた
私好みの
派手な怒りですね。
いったんテトラの外を歩き回り、
テトラに戻り、尾中さんに約束を破ることを告げ、
私は皆さんにむけてしゃべるのではありません私に向けてしゃべりますさあ、
この詩は「賛美する」と言います。賛美する。自分も佐野元春も意外に肩幅が広いということを突きつけてみたいと思っているのだと叫んでいることを知っている俺は
伊藤は世を忍びたいのだが、
柴田有理はどうか、私を見てほしい、
そこで
毅然の「毅」の字が
しのぶと読むことを知る。
私も毅べる。
伊藤にも伝わった柴田作品はどれでしょう、
これ、「ずれ」と私が名付けた、
中央より少し上に針が位置している
貴重な画鋲です。
伊藤さんも道が苦手ですから、
自信が持てずに方角を指さすとき、
小指でぐんにゃり
あっちだと思いますと指さすのを私は見たから、
私の今展のチラシの絵の手は
小指で卒塔婆を指さしているのです。
建立は英語でエレクションだが、医学用語では。あーあ。
澄木夏生の絵のモデルは生島さんです。
伊藤が生島さんの立ち姿の美しさが忘られぬ。
おお まだしゃべる時間余ってるんですか、
よし、盛岡をおすすめします。
盛岡には福祉バンクという中古品屋があり、
すばらしい服が安く売られています。
アメリカンフットボールの服をご覧ください、あれ、無い、
どこだ、
あ これはテトラの近所の祭用品店で買った、
日本地図柄!の雪駄です。
これは、大牟田で買った渋い波文様の草履です、
ええ、尾中さんも
柴田さんは(本は借りる。買わない。というが)ずいぶん物を買いますねと言っている、
あった!
これ、
アメリカンフットボールの選手と観客の柄の、
シャツです。
盛岡↑。
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脇川飛鳥さんも言ってたように、
柴田は燃え尽き、
散歩に出たが、
近所のビルの隙間に挟まって休みだしたら、
悲しんでいいのが分かり、
悲しんでいたら、
ビルっていうかそこアパートだったのか、
住人ふたりに暖められるのです、
ともかくうちに、室内に入りなさい、
寒かったでしょう、コートかけられる、暖房をつけられる、
暖かい缶コーヒー
素性を明かすと岩手県盛岡市から来ました
柴田有理と言います、30歳です、
実は、あまり寒くありません
(ただ、暖められてもいいのだと自分で考え、暖められていました)
そのお宅は、仏教徒ではありません。
それを笑い話にしようとする私もいるでしょう。
ただ、この場合の異教徒は、
異なっていても
どうということはない。
テトラに戻れば、
極端に、柴田は川に浮かんでいるのではないかと心配した人もいた、
撤収梱包作業に入るが、
柴田失立失歩(解離症状)、
柴田をホテルに運ぼう、
人体を運ぶのが上手ではない伊藤さんが、
人体の運び方を尾中さんやベーシスト坂口さんに
指導される、
なるほど、
伊藤さんが画題としてどうして美しかったかというと、
女性的なものを持ってらっしゃるからなのか。