先日20日、
私が盛岡で参加している短歌の集まり“天然短歌会”の皆さんに、
柴田有理の歌集「三度笠線」
http://d.hatena.ne.jp/shibataari/20150925
の合評会を開いてもらいました。
その時にいただいた発言を記録します。
●柴田は身体のことを題材に短歌を作っている。
柴田の好きな形(柴田にとっての善)と、柴田にとって絶対嫌なもの(悪)があるようだ。
理想のボディイメージというのがあり、自分はそうでは無いということから
作歌しているのではないか。
嫌なものは何としても避けたいという思いがあるようだ。
自分の思いを、自分の身体感覚を言葉にしたもので表している。
物事のフォルムを大事に考えているので、
芸能人や人のしぐさ・ルックスについての短歌も多い。
もくじが歌集の最後にあることが、まず短歌を読め と言っているようで力強い。
●連想しながらどんどん言っている(行っている)。
字面の印象、言葉の見た感じを発展させている。
連想が連想を呼んでいる。
歌に「動き」がある
●自分が短歌を詠むときは、自然を題材に詠むのが普通だが、
柴田は身体のことや、普通短歌にしないような題材で、詠んでいる。
〔質問〕もくじにある短歌ひとつひとつの名称は、その短歌の主題ですか?
〔解答〕各短歌の「あだ名」のようなものです。
「ほら、私のクーラーの短歌あるじゃん、あれさ」などと
しゃべりやすくするためのものです。
〔質問〕輪郭線の周りに、輪郭線の中を守るように少し離れて引かれたのが
三度笠線、ということは、柴田は守られたいのですか。
〔解答〕そうです、柴田が緩衝材や保湿剤のようなものに囲まれて、
何か線で囲われ、区切られて守られたいということです。
●歌会で、他の作者の短歌に一首ずつまぎれていた時には見えづらかった
柴田の短歌の特徴(世界のようなもの)が、
歌集一冊にまとまると、はっきりする。
柴田の短歌同士が、互いに引き立てあっている。
言葉にする前に流れて行ってしまいそうな、とりとめもない考えをうまく掴まえている。
およそ結びつきそうもないもの同士をつなげて言葉にしている。
創作することへの真剣さの度合いが強い。
●さまざまな物を並べて連想でつないでいる。
突飛なものの取り合わせなようで、よく見ると奥でつながっている。
●歌の内容と、各短歌を書くのに使った色鉛筆の色が、よく合っている。
美術活動をしている感覚が活かされている。
短歌を数行に分けたり、一行書きで印刷したり
ふた通りの表記がしてあるが、どちらも調べが崩れていない
〔質問〕三度笠線というタイトルは、股旅ものの三度笠と関係があると思ってよいか。
〔解答〕演歌、歌謡曲のような雰囲気、そのダサさは大事(在るべき)だと思うので、
道中の屋根である三度笠という単語をタイトルの中に含めた。
五能線とか、演歌タイトルと近い歌集タイトルなのも、良いと思った。
また、ある音から三度離れた音は、元の音とハモるので、
輪郭線に対してそれを囲った線がハモっている
(ハモるように輪郭線を囲っている)場合、
それが「三度笠線」という線、ということになります。
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