細長い鉄の腕をした手に、
手をひっぱられる夢で目が覚め、
テトラに行くと、
尾中さんが来ない。
テトラ周辺には古いアパートなど
撮りどころが沢山だ、
小さいマサカリに見えるものを拾ってセルフポートレートを撮ったり、
ひしゃくを撮ったり(私の個展会場には、小墓とミニひしゃくが置いてある。)
私が買ったテトラ用・トイレマジックリンに貼った
私が盛岡から持参した丸いシールや、
「牟田」という名字のはんこを押して切り抜いた丸い紙
の配置のしかたと似た感じに、
丸いシールのようなものが路上に何枚も貼られているのを見かけ、
撮った。
そういった写真シリーズのタイトルを、
「尾中が来ない」
にしてしまった。
烏骨鶏ラーメン屋で詩人と夕食、
会話がほぼ文学論めいて行くのに、
周りのサラリーマンの飲み方と騒ぎ方はどんどん音量が上がり、
私たちの言葉はより、
意識的に聞き取ろうとされた、丁寧に扱われた、
私が、大事な本から逃したくない部分を6ページだけコピーした紙を持っていたから詩人に見せると、
なぜだこの本は大事だ。支離滅裂なコピー群から読み取る人。
その本をどちらが先に入手するか競う以外、思いつかない。